だるまちゃんの絵本コラム~たまには昔話も読んでみよう!の巻~

昔話・・・日本のものに限らず、いわゆるグリムやアンデルセンやイソップ童話のようなものも含めて、みなさんちゃんと知ってますか?

今の子どもたちに聞いてみると、知らな~い!という子も多いし、知っていてもディズニー映画などの影響で、ハッピーエンドで終わるお話だと思っていたりするようです。

 

ずいぶん前に、昔話を研究されている小澤俊夫氏の講演会を聞いた時、目からうろこの話も多くて興味深く、以来折を見て私も読み聞かせに使うことが増えました。

教訓や道徳心を養うような話が多いため、残酷な場面も多いのが昔話ですが、優しい言葉に変換されていたり、挿絵がかわいい絵本も多いです。でもせっかく昔話を味わうなら、原作に近い絵本も是非手にしてみてください。

子どもたちも「え~っ!!!」と驚きながらも、そうだったんだぁ、と結構すんなり受け入れてくれますよ。

 

 

日本の昔話といったら「桃太郎」

「ももたろう」
松居 直 文   赤羽 末吉 画
福音館書店

桃が「どんぶらこ、どんぶらこ」ではなくて「つんぶく、かんぶく」と流れていたり、最後に鬼から宝物を奪うのではなく、宝物と一緒にさらわれていたおひめさまだけを取り返し、最終的にそのおひめさまと結婚する・・・という「そうなの~!?」という展開ではあるけれど、これが原作に近いのだと言われてしまえばそういうことなのでしょう。

ぶたもかなり残酷です

3びきのこぶたというと、3兄弟が仲良く協力して、おおかみをギャフンと言わせる・・・そんなイメージ。でも、原作に一番近いといわれているこの絵本は、ぜんぜん違う結果なのです。

「三びきのこぶた」
イギリス昔話   瀬田 貞二 訳   山田三郎 画
福音館書店

この絵本では、わらで家を造ったこぶたも木の枝で造ったこぶたも、家を吹き飛ばされたあげくおおかみに食べられてしまうのです。

そして最後は、レンガで家を造ったこぶたがおおかみを食べてしまうという結末に、聞いていた子どもたちはどよめきながらもいろんな感想を言ってくれます。かわいそうとかひどい、などの擁護はあまりなく、ちゃんと昔の人たちが語り継いできた想いは伝わっているようです。

昔話ではないけれど絡んで紹介したいのがこれ

「3びきのかわいいオオカミ」
ユージン・トリビザス 文   ヘレン・オクセンバリー 絵   こだま ともこ 訳
冨山房

ぶたとおおかみが逆転してるお話。気弱なおおかみを襲う悪い大ぶた。

異常なほど頑丈な家を造るおおかみが最後に見つけた材料は?最後はとってもハッピーエンド♪私はこの絵本は、戦争がテーマのときに紹介することが多いのですが、それくらい平和を考えさせられる内容です。

おおかみ目線で書き直されている絵本も結構ありますので、気になる方は探してみてくださいね。

ガラスの靴じゃないんですよ

「グリム童話より 灰かぶり」
スベン・オットー え   矢川澄子 やく
評論社

女の子にとって永遠のお姫様の一人「シンデレラ」。こちらはディズニーの影響が大きいですが、シンデレラが置き去りにした靴はガラス製?

何十年も前のクイズ番組でやってた答えは、確か原作は毛皮の靴。この絵本では金の靴。

その靴が履けるように、いじわるなお姉さんたちははみ出てしまう足の部分を切り落としてしまいます。最後には二人ともハトに目をつつかれ、つぶされてしまいます。

キャ~~~ッ!!!な内容ですが、本来昔話っておどろおどろしいもののようですから、きれいなお姫様が出てくるほかのお話も、どうぞ原作に近いものを読んでみてくださいね。

そんなわけで三つの昔話しか紹介できていませんが、絵本にしてみれば何十冊もの種類があるわけです。これ絵がかわいいから~、と優しめな絵本を選ぶのもありですが、いろんな絵本を読み比べて、昔話の奥の深さを楽しんでくださいね。

このコラムを書いた人は

だるまちゃん
普段は園、小・中学校、特別支援学校、図書館ほか公共施設で読み聞かせしています。
出店者さんやお客様のお子さんを対象に読み聞かせをすることに楽しさを感じ、2016年からは屋号を「だるま文庫」に設定。
読み聞かせと共に用意した絵本を自由に読んでもらえる移動文庫のブース作りをしています。

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